道路統計年報から傾向を探る

道路統計年報から抜粋集計

 道路や構造物の数量や件数、事業費などが記されている道路統計年報。
直轄国道や市町村道などの道路種別ごとや、都道府県別などの所在地ごとに数値が明示されていることから、構造物や事業費の傾向を窺い、営業戦略立案の一助として活用する事業者も多い。
年報は主に、個所数や延長などの数量は直近のまとめ数値、事業費などは2年前程度の数値で構成されているが、道路管理者によれば、短い期間に個所数や延長が大きく変動することは考えにくく、また、事業費も大きな凸凹が発生しないよう平準化して予算組をすることが普通で、前後の年度と比べ、数量・金額ともブレは微増や微減にとどまるという。
橋梁総研レポートでは、道路統計年報の最新版である2019年度版から、橋梁関連の数値を抜粋集計して、橋梁の傾向をまとめ、今後の維持管理需要や更新・整備需要などを探る。道路法による道路の種類、定義、管理者は表のとおり。

■橋梁事業費9022億8099万2千円
橋梁整備費は5040億8190万2千円、橋梁補修費は3981億9909万円
北海道域が最大で744億3969万7千円

 最新版の道路統計年報2019版によれば、2017年度(平成29年度)の橋梁整備費は5040億8190万2千円、橋梁補修費は3981億9909万円の計9022億8099万2千円。橋梁事業費の約45%が国交省の直轄事業で、特に橋梁整備費では60%を直轄が占める一方、橋梁補修費では24%にとどまる。東日本大震災の復興道路事業が桁違いで出ていることと、道路メンテナンス年報が示すように、直轄は判定区分がⅠ(健全)、Ⅱ(予防保全段階)のものが多いことなどが背景にあると考えられる。ただ、橋梁の9割以上が地方の管理である側面からみると、1橋当たりの補修金額が大きいと見込まれることも見逃せない。
橋梁費を地域別でみると、2017年度の橋梁費合計9022億8099万2千円のうち、北海道域が最大で744億3969万7千円、次いで岩手県域が397億3912万1千円、以下、福島県域、東京都域、岐阜県域、宮城県域など。この内訳をみると、橋梁整備費(合計5040億8190万2千円)では岩手県域が北海道域を上回り最大で306億1766万2千円、次いで北海道域、福島県域、岐阜県域、宮城県域など。橋梁補修費(合計3981億9909万円)は北海道域が最大で455億2852万7千円、次いで東京都域、愛知県域、埼玉県域、静岡県域など。
一般国道でも事業費の多いトップ10は、この合計の傾向とほとんど変わらないが、橋梁整備費で横浜市域が、橋梁補修費で山形県域が入っている。
主要地方道では、合計でトップ10に入った圏域以外に‥紙面へ

■橋長15m橋梁の橋数は17万1805橋
中小橋は14万8649橋、100m以上の超大橋は2万3156橋
桁橋が最大で73%・125521橋

 橋梁数でみると、道路統計年報2019版が対象としている橋長15m橋梁の橋数は17万1805橋。このうち橋長100m未満の中小橋は14万8649橋、100m以上の超大橋は2万3156橋。
内訳は、道路種別では市町村道が最大で56%・96928橋、主要地方道が10%・18259橋、一般都道府県道が10%・18187橋、一般国道(指定区間)が8%・14558橋、一般国道(指定区間外)が8%・14369橋、高速自動車国道が5%・9504橋。
橋種別では桁橋が最大で73%・125521橋、床版橋が20%・34937橋、トラス橋が1%・1819橋、アーチ橋が1%・2596橋、ラーメン橋が2%・4897橋、斜張橋が1%・309橋、吊橋が1%・843橋、カルバート(溝橋)が1%・883橋。
最もボリュームが多いのが市町村道の桁橋(中小橋)で65607橋、次いで市町村道の床版橋(中小橋)20967橋。

■東は鋼橋、西はRC橋、PC橋が多い傾向
見込む需要 塗替えは東日本
剥落やひび割れは西日本

 上部工使用材料でみると、全橋数171805橋の内訳は、PC橋が最多で44%・75870橋、鋼橋が37%・64936橋、RC橋が15%・25959橋、石橋が1%・309橋、木橋が1%・786橋、鋼とRCまたはPCとの混合橋が1%・3303橋、その他が1%・642橋。
所在地圏域別でみると、鋼橋は、橋梁合計トップ10とほぼ同様の北海道域、岐阜県域、福島県域、長野県域、新潟県域、兵庫県域、愛知県域、三重県域、秋田県域、岩手県域で多いが、RC橋は‥紙面へ

■撤去や修繕など必要とみられる交通不能・規制橋 市町村道に多く
吊橋、斜張橋やトラス橋など特殊橋梁 ほぼすべてを占める

 撤去や修繕、更新など、何らかの対策が必要とみられる交通不能橋、通行規制橋に目を向けると、交通不能橋は5492橋(中小橋5220橋、長大橋272橋)、通行規制橋は3595橋(中小橋3185橋、長大橋410橋)。
交通不能橋を道路種別にみると、そのほとんどを市町村道が占め、5233橋(中小橋が4987橋、長大橋が246橋)、次いで主要地方道が136橋(中小橋が128橋、長大橋が8橋)、一般都道府県道が71橋(中小橋が57橋、長大橋が14橋)など。
交通不能橋を橋種別にみると、桁橋が最多で69%・3813橋、床版橋が17%・939橋、、トラス橋が1%・100橋、アーチ橋が1%・85橋、ラーメン橋が1%・108橋、斜張橋が1%・25橋、吊橋が7%・417橋、カルバート(溝橋)が1%・5橋。
通行規制橋は、桁橋が最多で75%・2720橋、床版橋が13%・501橋、トラス橋が2%・90橋、アーチ橋が2%・83橋、ラーメン橋が2%・96橋、斜張橋が1%・9橋、吊橋が2%・95橋、カルバート(溝橋)が1%・1橋。
ここで一つの傾向がみえる。特殊橋に問題を抱える橋が多いということだ。吊橋では全数843橋のうちの約半数・413橋で交通不能、加えて95橋で通行規制となっており、全数の61%で問題を抱えている。斜張橋では全数309橋のうち約1割の25橋が通行不能、9橋が通行規制と1割で問題を抱えている。トラス橋は全数1819橋のうちの5%強の100橋で交通不能、加えて90橋が通行規制で、計約1割で問題を抱えている。アーチ橋は全数2596橋のうち交通不能が3%橋の85橋、加えて通行規制が3%橋の83橋で計7%弱で問題を抱えている。これは床版橋や桁橋、カルバート(溝橋)に比べ、かなり高率となっている。
これらの特殊橋の交通不能橋と通行規制橋の管理者別で見ると、吊橋は全数843橋のうち777橋が市町村道で、このうち412橋が交通不能、82橋が通行規制となっており、全橋種の平均以上に問題橋梁が市町村道に集中している。
斜張橋でも、交通不能となっている全橋が市町村道、通行規制となっている9割・8橋が市町村道となっており、全橋種の平均以上に問題橋梁が市町村道に集中している。
トラス橋でも交通不能橋梁全橋を市町村道が占めている。
吊橋は和歌山県域や、奈良県域、徳島県域‥紙面へ

■交通不能・規制橋 上部工材料別では鋼橋が約半数

 交通不能橋5492橋を上部工材料別でみると、鋼橋が最多で50%・2746橋、PC橋が23%・1264橋、RC橋が15%・868橋、木橋が7%・425橋、鋼とRCまたはPCとの混合橋が1%・88橋など。
通行制限橋も3595橋のうち、鋼橋が最多で49%・1762橋、PC橋が26%・959橋‥紙面へ

最新版の道路統計年報2019から橋梁関連を抜粋集計 整備補修別・道路種別トップ10 (平成29年度 総括・合計)(単位 : 千円)