橋梁等の2019年度(令和元年度)点検結果をとりまとめ/国交省 道路メンテナンス年報(2巡目第1弾)の公表

道路メンテ年報2019 点検事例

 国土交通省は橋梁などの2019年度の点検結果をとりまとめ、「道路メンテナンス年報(2巡目第1弾)」として9月11日に公表した。
2013年度の道路法改正などを受け、2014年度から道路管理者は全ての橋梁、トンネル、道路附属物などについて、5年に1度の点検が義務付けられている。2018年度に1巡目点検が完了し、2019年度から2巡目点検が実施されている。今般の公表は、2巡目の初年度である2019年度の点検が完了したため、2019年度結果と、これまでの診断結果や措置状況などをとりまとめまたもの。

■橋梁数72万橋、うち地方管理が9割以上

 国内の約72万橋の橋梁のうち、地方公共団体が管理する橋梁は約66万橋と、9割以上を占める。国交省管理が5%の38000橋、高速道路会社管理が3%の24000橋、道路公社管理が0・3%の2000橋、都道府県管理が19%の139000橋、政令市管理が6%の47000橋、市区町村管理が66%の476000橋。
ただ、橋長50m以上の橋梁は国土交通省、高速道路会社に多く、市区町村は管理する橋梁の80%以上が橋長15m未満(最優先で点検すべきとされている緊急輸送道路を跨ぐ跨道橋や跨線橋は80%以上が橋長15m 以上)。
このため、面積ベースでは、163百万㎡のうち地方公共団体管理は約半分にとどまり、国土交通省が15%で23719千㎡、高速道路会社が31%の51205千㎡、道路公社が3%の4515千㎡、都道府県が25%の40716千㎡、政令市が5%の7931千㎡、市町村が21%の34587千㎡。
建設後50年を経過した橋梁の割合は、現在は約30%であるのに対し、10年後には
約55%に達する。建設後50年を経過し橋長15m未満の橋梁の割合は、10年後に
約62%に、橋長15m以上では44%になる。この他に建設年度が不明の道路橋が全国で約23万橋あり、これらの大半が市区町村管理の橋長15m未満の橋梁が占める。

面積数
橋梁数
管理橋梁の橋長区分
建設後50年経過の橋

■2巡目点検初年度の点検は1巡目点検より進捗

2巡目点検の初年度となる2019年度の点検実施割合は、橋梁が17%、トンネル16%、道路附属物等18%で、1巡目初年度よりも進捗している。橋梁では2014年度に比べ8ポイント増加した。
2019年度の点検で、早期または緊急に措置を講ずべき状態(判定区分Ⅲ・Ⅳ)の割合は、橋梁で9%、トンネル30%、道路附属物等12%だった。
橋梁の判定区分別は、健全で構造物の機能に支障が生じていない状態のⅠが40%(48319橋)、予防保全段階で構造物の機能に支障が生じていないが予防保全の観点から措置を講ずることが望ましい状態のⅡが51%(62027橋)、Ⅲが9%(11109橋)、Ⅳが0・1%(92橋)。このうち国土交通省はⅠ判定が最も多い53%(3779橋)、他はⅡ判定が最多で高速道路会社が68%(3351橋)、都道府県・政令市等が53%(18146橋)、市区町村が51%(38052橋)。
2014~19年度の集計でも同傾向で、国交省はⅠ判定が最多の60%(22153橋)、他はⅡ判定が最多で、高速道路会社が78%(18094橋)、都道府県・政令市等が51%(94469橋)、市区町村が48%(227656橋)。

■地方公共団体の修繕等措置の着手率が未だ3割
今後着手見込む「措置未着手」は43901橋 うち北海道域最多3488橋

 1巡目点検で早期に措置を講ずべき状態(判定区分Ⅲ)または緊急に措置を講ずべき状態(判定区分Ⅳ)と診断された橋梁で、2019年度末までに修繕などの措置に着手した割合は、国土交通省管理で69%、高速道路会社47%、地方公共団体34%。
判定区分Ⅲ・Ⅳである橋梁は次回点検まで(5年以内)に措置を講ずるべきとしているが、地方公共団体における2014年度点検で判定区分Ⅲ・Ⅳと診断された橋梁は、修繕などの措置の着手率が52%と遅れている。
1巡目点検で措置が必要な橋梁は68838橋で、点検全数716557橋の9・6%を占める。68838橋の内訳は、国交省が3427橋で4・9%を占め、高速道路会社が2538橋3・6%、都道府県政令市等が20535橋29・8%、市区町村が42338橋61・5%(地方公共団体全体合計は62873橋91・3%)。
このうち2019年度末現在で措置に着手した橋梁は24937橋で進捗36%(うち完了は14645橋で進捗21%)。内訳は国交省が2359橋で進捗69%(1071橋で31%)、高速道路会社が1202橋47%(705橋で28%)、都道府県政令市等が9052橋44%(5057橋25%)、市区町村が12324橋29%(7812橋18%)(地方公共団体合計は21376橋34%、うち完了は12869橋で20%)。
措置に未着手な橋梁は43901橋で、要対策橋の64%。内訳は国交省が1068橋で残率31%、高速道路会社が1336橋で53%、都道府県政令市等が11483橋で56%、市区町村が30014橋で71%(地方公共団体合計は41497橋で66%)。
措置に未着手な橋梁が所在する都道府県別にみると、北海道域が最多で3488橋と未着手全体の8%を占め、次いで新潟県域3186橋の7%、長野県域2556橋の6%、兵庫県域1828橋の4%、広島県域1621橋の4%、山口県域1621橋の4%、岡山県域1549橋の4%、福島県域1400橋の3%、鳥取県域1396橋の3%、徳島県域1294橋の3%、大分県域1202橋の3%、埼玉県域1107橋の3%、静岡県域1065橋の2%、群馬県域1050橋の2%、富山県域1005橋の2%、これ以下は1000橋未満。
1巡目点検で判定区分Ⅲ・Ⅳの橋梁の割合が多かった地域は20%以上が新潟県域、鳥取県域、15%以上が北海道域、大分県域、10%以上が青森県域、秋田県域、福島県域、長野県域、富山県域、広島県域、山口県域、愛媛県域、徳島県域、高知県域、鹿児島県域、沖縄県域。
これらⅢ・Ⅳ判定に対して措置着手率が高いのが、60%以上が愛知県域、福井県域、佐賀県域、宮崎県域‥紙面へ

道路メンテ年報2019 ⅢⅣ判定橋梁修繕状況
道路メンテ年報2019 Ⅱ判定橋梁修繕状況
都道府県別 1 巡目点検施設の修繕等措置の実施状況(2019 年度末時点)判定区分Ⅳの修繕等措置の実施状況(国土交通省)2020.3 末時点 抜粋集計
道路メンテ年報2019 道路管理者別の点検結果《上段:判定区分割合 下段:橋梁数》
道路メンテ年報2014~19 道路管理者別の点検結果《上段:判定区分割合 下段:橋梁数》

■5年間で早期又は緊急に措置を講ずべき状態に変化した割合は5%

 予防保全の観点から措置を講ずることが望ましい状態(判定区分Ⅱ)の橋梁の修繕等措置の実施状況としては、1巡目点検で判定区分Ⅱの橋梁は349982橋で、点検全数716557橋の48・8%を占める。
349982橋の内訳は、国交省が11472橋で3・3%を占め、高速道路会社が18838橋5・4%、都道府県政令市等が92663橋26・5%、市区町村が227009橋64・9%(地方公共団体全体合計は319672橋91・3%)。
このうち2019年度末現在で措置に着手した橋梁は15834橋で進捗5%(うち完了は9923橋で進捗3%)。内訳は国交省が3652橋で進捗32%(1395橋で12%)、高速道路会社が462橋2%(284橋で2%)、都道府県政令市等が3537橋4%(2441橋3%)、市区町村が8183橋4%(9923橋3%)(地方公共団体合計は11720橋4%、うち完了は8244橋で3%)。
措置に未着手な橋梁は334148橋で、要対策橋の95%。内訳は国交省が7820橋で残率68%、高速道路会社が18376橋で98%、都道府県政令市等が89126橋で96%、市区町村が218826橋で96%(地方公共団体合計は307952橋で96%)。 1巡目の2014年度点検で健全または予防保全の観点から措置を講ずることが望ましい状態(判定区分Ⅰ・Ⅱ)と診断された橋梁のうち、修繕などの措置を講じないまま、5年後の2019年度点検において、早期または緊急に措置を講ずべき状態(判定区分Ⅲ・Ⅳ)へ遷移した橋梁の割合は全道路管理者合計で5%あった。
建設年数が41年以上となる橋梁では、判定区分Ⅰ・Ⅱから判定区分Ⅲ・Ⅳに遷移した割合が高くなっている。

■Ⅳ判定 撤去等を実施する橋梁の増加
今後措置のⅣ判定441橋 高知県域最多で51橋

 2019年度末時点で判定区分Ⅳと診断された橋梁は812橋で、前年度より72橋増加した。その対策として、撤去または廃止された橋梁も255橋(予定含む)と前年度末より17橋増加した。
812橋の対策の内訳は修繕・掛替が435橋(54%)、機能転換が9橋(1%)、撤去・廃止中(予定含む)が182橋(22%)、撤去・廃止済等が73橋(9%)、対応未定が113橋(14%)。
国交省は、老朽化した道路インフラの適正に維持管理を行っていくうえでも、ライフサイクルコストや地域の状況を踏まえ、必要に応じて集約化・撤去などにより合理化を図って行く必要があると指摘している。
国土交通省のⅣ判定橋梁14橋のうち、架替済みは1橋、架替中は5橋、架替予定は2橋、修繕済は2橋、修繕中は4橋。
都道府県・政令市等のⅣ判定橋梁36橋のうち架替済みは7橋、架替中は4橋、修繕済みは10橋、修繕中は4橋、修繕予定は1橋、撤去済みは1橋、撤去中は1橋、撤去予定は6橋、未定は2橋。
市区町村のⅣ判定橋梁762橋のうち架替済みは89橋、架替中は35橋、架替予定は43橋、機能変更済は6橋、機能変更中は1橋、機能変更予定は2橋、修繕済は145橋、修繕中は22橋、修繕予定は61橋、撤去済は49橋、撤去中は14橋、撤去予定は134橋、廃止済は22橋、廃止中は2橋、廃止予定は26橋、未定は111橋。
今後の事業量となる架替中、架替予定、修繕中、修繕予定、撤去中、撤去予定、未定をまとめると全国合計は441橋、高知県が最多で51橋と全体の12%を占め‥紙面へ

橋梁の判定区分Ⅳの施設リスト(2014~2019 年度)
道路メンテ年報2019 判定区分Ⅳ橋梁の対策区分

■点検新技術を活用した地方公共団体は 1 割未満
無資格・無研修点検42271橋・42%

 2019年度の点検において、ドローンなどの点検支援技術を活用した地方公共団体数は32団体、トンネルで5団体に留まった。
2019年度に地方公共団体が実施した橋梁点検のうち、職員自らが点検(直営点検)を実施した割合は16%だった。直営点検による点検実施者のうち、国土交通省の実施する研修を受講している割合は46%、民間資格保有のみは7%。
一方、委託点検による点検実施者のうち、国土交通省が実施する研修を受講している割合は9%、民間資格保有のみは51%。
研修や資格がともにない点検者による点検が行われた橋梁は42271橋で全体の42%にのぼる。内訳は直営点検での無資格・無研修点検数が7754橋で直営点検の47%を占め、委託点検では34517橋で40%を占めている。
国交省では、点検の精度向上するためには研修受講、民間資格の活用など点検技術の向上を図る必要があると指摘している。

道路メンテ年報2019 橋梁点検実施者の資格状況

■点検や修繕費 交付金や補助を活用
長寿命化修繕計画(個別施設計画)
未策定・未公表358団体
橋梁ごとの修繕時期・内容未公表278団体

 地方公共団体が実施する橋梁の定期点検費用について、社会資本整備総合交付金を活用している割合は、都道府県政令市で95%、市区町村では98%。
地方公共団体が実施する橋梁の修繕について、交付金または補助事業を活用している割合は、都道府県政令市で63%、市
区町村で92%であり、地方単独費のみを充当したものは8%~36%。
国のインフラ長寿命化基本計画(2013年)では2020年頃までの長寿命化修繕計画(個別施設計画)の策定を目標としている。2019年度末時点で計画を策定していない地方公共団体が137団体あり、策定済みで公表していない地方公共団体は221団体。
修繕の時期や内容を橋梁ごとに示していない計画となっている地方公共団体は278団体。また、計画の策定後に点検結果を反映するなど計画の更新を行っていない地方公共団体は239団体。
国交省では、橋梁などの老朽化対策を計画的・効率的に進めるためにも、長寿命化修繕計画を策定するとともに、点検結果を踏まえ、更新を行うことが重要と指摘している。

道路メンテ年報2019 ⅢⅣ判定橋梁割合
道路メンテ年報2019 個別施設計画(橋梁長寿命化修繕計画)策定状況