IH式塗膜剥離技術 土木学会に委員会創設/各社技術の把握と適用範囲など整理/マニュアル類の作製目指す

 土木学会鋼構造委員会は「防食塗膜剥離における高周波誘導加熱の利用に関する調査研究小委員会」(委員長は大阪大学の廣畑幹人教授 )を新たに設置し、参加者の公募をはじめた。活動期間は4月から2022年の3月で、応募の締め切りは31日。
高周波誘導加熱(Inductin Heating=IH)による塗膜剥離工法は、鋼材を200℃程度の比較的低温に加熱することで鋼材を熱膨張させるとともに塗膜の付着力を低下させ塗膜を容易に剥離する技術。厚膜への適用性、作業効率の向上、廃棄物処理の容易さ、環境負荷低減など種々のメリットが期待されている一方で、比較的新しい工法であるため施工方法が体系化されておらず、過加熱による鋼材への熱影響、変形や応力の発生などの対象構造物へのリスク、作業時の安全に関するリスク、塗膜剥離箇所の表面状態が塗装に適するかといった塗膜剥離の品質などについて、明確になっておらず、適切な施工条件や作業の安全に関する留意点、品質基準を明確化することが望まれている。
委員会では、防食塗膜剥離における高周波誘導加熱の利用に関する調査をを行い、高周波誘導加熱を用いた工法の施工に関する指針となる資料の作成を目指す。塗装塗替え工程における塗膜剥離の位置づけを明確にし、利点・欠点など他の工法との比較を通じて高周波誘導加熱の適用限界や施工条件を提示する予定だ。
具体的な調査研究項目は主に五つで、▽塗装塗替え工程における塗膜剥離の位置づけ、塗膜剥離箇所に要求される素地調整程度の整理▽各種塗膜剥離工法の利点、欠点などの比較検討▽高周波誘導加熱による防食塗膜剥離の原理、作業安全性に関する整理(熱害など想定される悪影響とその対策)▽適切な防食塗膜剥離の施工条件に関する整理▽高周波誘導加熱による防食塗膜剥離の施工事例収集と整理。
問い合わせや、申し込み受け付けには、委員会の中原智法幹事長( 日本橋梁神戸事業所生産・技術グループ技術開発チーム)があたる。連絡先は電話が078-771-5266、メールがt-nakahara@nihon-kyoryo.co.jp宛。
IH塗膜除去工法は、海外ではプラントなどの塗替え時に使われているが、国内の橋梁の塗替えではNEXCO西日本の関門橋や、首都高速などで採用された実績があるものの、まだ歴史が浅い一方、様々な企業が参入している。
日本市場での展開が早かったのが首都高メンテナンス東東京で、IH塗膜除去工法研究会をつくり、事務局にもなっている。会員企業はほかに、ナプコ、日本建設機械施工協会施工技術総合研究所、望月工業、オーシャンテック、日本橋梁。「塗装剥離方法」として特許 (第5896849号)を取得しているほか、 「電磁誘導加熱による鋼構造物の塗膜剥離工法」としてNETIS登録 (CB-130001-A)もしている。
IH式塗膜剥離技術協会(事務局はビルドメンテック)が展開するのはElectroRemoverで、NETISに登録しているほか(QS-160043)、平成28・30年度北九州市中小企業技術開発助成金制度活用事業、福岡県新技術(1801013A)などにも選定されている。ほかに、EARTH CREATE、安保塗装、一丸工業、コウノ、鈴幸、大翔塗工、大進産業、タナカ塗装システム、長栄工業、寺戸工業、南防、ハットリ、ハットリ工業、ボンドエンジニアリング、パンテック、安島工業、理化、リッジテック。
IH式RPR工法協会(事務局はみぞぐち事業)で、ほかに池田工業、拓磨工研、テクノハーツ、佐野塗装、極東メタリコン工業、イーエナジー。
個社として、技術開発・展開しているのが好川産業と横河ブリッジ。好川産業はIH塗膜剥離機「メクレル」を、横河ブリッジはIH式剥離装置による塗膜除去‥紙面へ