直轄総合評価入札年次報告2019/鋼橋上部やPC 熾烈な環境

総合評価方式 工事種別ごとの割合と件数

■適用状況 件数・金額とも99%超

国土交通省が18日に開いた発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会において示した2018年度の直轄工事における総合評価落札方式の実施状況のまとめによると、鋼橋上部やPCの入落札において、他の工種と比べ熾烈な競争となっていることが推測される。この18年度の年次報告は地整が契約した工事の合計7898件を対象に国土技術政策総合研究所がまとめたもの。
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18年度の直轄工事における総合評価方式の適用状況は、件数ベースで99・2%、金額ベースで99・7%。各契約タイプにおける内訳は件数ベースで施工能力評価型(Ⅱ型)が70・3%で最も多く、同(Ⅰ型)が22・8%、技術提案評価型(S型)が6・8%、技術提案評価型(A型)が0・0%(1件)。金額ベースで施工能力評価型(Ⅱ型)が43・2%、技術提案評価型(S型)が36・3%、技術提案評価型(A型)が0・0%。
施工能力評価型(Ⅱ型)は、工事難易度がⅢ以下の予定金額3億円未満の技術的な工夫の余地が小さい工事で、発注者が示す仕様に基づき、適切で確実な施工を求める場合に、企業の能力(施工実績、工事成績、表彰等)と、技術者の能力(施工経験、工事成績、表彰等)に基づいて、技術力と価格で総合評価をする方式。
施工能力評価型(Ⅰ型)は、工事難易度がⅢ以下の3億円以上7・4億円未満の技術的な工夫の余地が小さい工事で、発注者が示す仕様に基づき、適切で確実な施工を求める場合に、施工計画の適切性審査(可・不可)、企業の能力、技術者の能力に基づいて、技術力と価格で総合評価をする方式。
技術提案評価型(S型)は、工事難易度がⅡ~Ⅵの技術的な工夫の余地が大きい工事で、発注者が示す標準的な仕様に対し、社会的要請の高い特定の課題について施工上の工夫などの技術提案を求めることにより、公共工事の品質をより高めることを期待する場合に適用し、構造物の性能向上、安全対策、交通・環境への影響、工期短縮などの観点から原則1課題の技術提案を求め、価格との総合評価により行う方式。
技術提案評価型(A型)は、工事難易度がⅥ以上と工事難易度が高い工事で、3つの類型(Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型)があり、いずれも技術提案をもとに予定価格を作成することが基本。Ⅰ型およびⅡ型は、発注者が標準案を作成することができない場合や、複数の候補があり標準案を作成せずに幅広い提案を求めることが適切な工事の場合に、標準案を作成せずに、設計・施工一括発注方式を適用し、施工方法に加えて工事目的物そのものの提案を求めることにより工事目的物の品質や社会的便益が向上することを期待する方式。一方、Ⅲ型は、発注者が詳細(実施)設計を実施するが、高度な施工技術や特殊な施工法等の技術提案を求めることにより、工事価格の差異よりも社会的便益が相当程度向上‥紙面に続く

■鋼橋上部、PC 受注環境/技術力、参加者数ともに激しい傾向
一般土木、維持補修、塗装は施工能力型が96%以上/維持補修、塗装は入札参加者数も平均下回る

特に橋梁に関連する鋼橋上部、PC、一般土木、維持修繕、塗装の傾向をみると、技術提案評価型を適用した工事の割合は、鋼橋上部で68%、PCで31%と際立って高く、一方、この2工種以外の工種、一般土木や維持修繕、塗装などは施工能力評価型の適用が96%を超えている。鋼橋上部、PC工種は、技術に関しての競争環境が厳しいことがうかがえる。
1工事あたりの競争参加者数の全工種の平均は、施工能力評価型で5・1者、技術提案評価型(S型)で6・3者、WTO技術提案評価型(S型)で14・3者(WTO技術提案評価型S型は、技術提案評価型S型のうち、WTO対象額以上の工事を示す)だが、工種別にみると、鋼橋上部が9・8者、PCが7・4者と平均を押し上げており、次いで一般土木が6・9者、一方塗装は4・5者、維持修繕は3・1者と、全工種の平均を下回っている。競争参加者数には無効・辞退および予定価格超過者を含んでいるものの、鋼橋上部、PC工種は、工事1件に対する参加者数ベースの競争も激しい‥紙面に続く

■鋼橋上部、PC 調査基準価格付近の僅差で競争/維持修繕は予定価格付近にも集中

直轄の総合評価発注における入札率・落札率・調査基準価格率の状況

予定価格に占める落札価格の割合の平均を示す平均落札率(各工事の「落札価格/予定価格」を平均したもの)は施工能力評価型(Ⅰ型・Ⅱ型)で93・0%、WTO技術提案評価型(S型)で91・1%。落札率と調査基準価格率の差が0~5%未満の落札者は、全工種では66%であるのに対し、鋼橋上部は最も割合が高い90%、PCはそれに次ぐ89%と、多工種に比べ断トツに高い。鋼橋上部、PCは調査基準価格付近に際立って多く、ほとんどそこに集中しており、極めて近い金額で落札している様子がうかがえる。
予定価格に占める入札価格の割合の平均を示す平均入札率(各工事の「入札価格/予定価格」を平均したもの)は、施工能力評価型(Ⅰ型・Ⅱ型)で94・9%、WTO技術提案評価型(S型)で93・8%で、落札者の平均入札率は93%、非落札者の平均入札率は95・5%。
工種別に入札率の分布をみると、鋼橋上部、PCは調査基準価格付近で際立って多く、ほとんどそこに集中しており、落札者の入札率が全工種では93・0%であるところ、鋼橋上部は最も低い91・3%、次いでPCが91・4%、一方、一般土木は92・3%、維持修繕は94・0%。入札率と調査基準価格率の差は、全工種の平均は落札者では3・7ポイント、非落札者が6・1ポイントで、最も少ないのが鋼橋上部落札者の1・4ポイント、次いでPC落札者の1・5ポイント、一般土木落札者とPC非落札者の2・8ポイントで、鋼橋上部、PCはほとんど差がゼロ付近に集中しており、この2工種は調査基準価格付近の僅差での入札競争となっていることがうかがえる。一方、維持修繕では入札率の分布は予定価格付近にも集中しており、調査基準価格率との差は、落札者で5・2ポイント、非落札者で7・3ポイント‥紙面に続く

■技術評価点得点率 入札率/鋼橋上部、PC 僅差に複数社が競合

技術評価の状況は、技術評価点満点に占める獲得技術評価点の割合を示す技術評価点得点率(技術評価点/技術評価点の満点)でみると、落札者の平均は92・6%、非落札者の平均は90・7%。工種別でみると、PCの落札者の平均は全工種の中で最も高い95%で、次いで鋼橋上部が94・3%、一般土木が94・2%と全体の平均を押し上げていることに加え、PCは非落札者の平均も93%で全体工種の落札者の平均も唯一上回っている。高い得点率での受注競争となっていることが分かる。維持修繕の落札者の平均は92・5%。
加えて、技術評価点1位同点者数は、全工種の平均が1者が94・2%、2者が4%、3者が0・8%、4者以上が1%であるところ、鋼橋上部、PCでは2者~4者以上の割合が15%を占める。
また1位と2位の得点率の差の分布においても、全工種の平均が2・5%であるのに対して、鋼上部工は1・8%で最小で、次いでPCが1・9%と、この2工種のみが2%を割っている。得点率が僅差ななかに、多くの競合がひしめいている様子がうかがえる。一般土木は2・1%、維持修繕は3・2%。
さらに、鋼橋上部、PCは、技術評価点の得点率の差、入札率の差ともに±1%の落札者が他の工事種別よりも際立って多くなっている。
技術、価格両面で僅差の競争となっており、環境が熾烈な様子がうかがえる。
落札者に占める技術評価点と価格の関係でみると、一般土木、AS舗装、維持修繕、機械設備、電気設備では、最高得点かつ最低価格の者が落札する割合が高く、鋼橋上部、PCでは最高得点かつ最低価格以外の‥紙面に続く