兵庫県 播但道路大規模修繕/有識者会議が提言まとめ/橋梁修繕・耐震 今後10年間170億円

播但連絡 位置図

 大規模修繕について有識者による議論を進めてきた兵庫県道路公社が管理する播但連絡道路(播但道、姫路JCT~和田山IC)で、提言書がまとまった。一巡目点検の結果を踏まえた橋梁の修繕や耐震補強などを今後10年間で170億円かけて進める内容。主な対策は伸縮装置の止水や床版防水、床版取替、ひび割れ注入などで、費用が高めとなる背景としては、道路規格がや構造物比率が高いことなどをあげている。積極的に新技術の提案を求めるなど発注方法で工夫を加えたい考えだ。資金確保については「道路利用者からの料金徴収期間を10年間延長することが望ましい」とした。大規模修繕や橋梁耐震化の在り方を議論する有識者会議(会長・佐竹隆幸関西学院大学専門職大学院教授)の第4回会合は12月12日に兵庫県民会館で開かれ、県への提言書をまとめた。県はこの提言を踏まえ、県道路公社が事業変更許可を受けるための議案を2020年2月県議会に諮り、議決承認を経て年度内にも事業方針を決定する見通しだ。
播但道は有料道路事業を導入し1970年に着工、2000年に全線約65kmが開通。県内を南北に縦断し、中国自動車道や山陽自動車道、北近畿豊岡自動車道と接続する。自動車専用道路で、一般道路に比べ高い水準の管理が求められ、構造物比率も高く、経年で老朽化が進むなか、橋梁耐震性能の確保や改正された道路法に基づく大規模修繕が喫緊の課題となっていた。
播但道には210橋(ボックスカルバート等は含まない)とトンネル15本あり、構造物比率は橋梁15・1%、トンネル14・2%で、兵庫県の県道の橋梁比率2・8%、トンネル0・7%より高い。橋齢は2018年度末時点で、40~49年が53橋(25・2%)、30~39年が61橋(29・0%)、20~29年が84橋(40%)、10~19年が12橋(5.7%)で、橋齢30年以上が114橋で約5割を占める。最古は46年。現状で、5割以上が架設から30年以上経っており、償還期間が満了する2032年には、橋梁の約8割が架設後40年以上となり、劣化が進展していく。
近接目視による1巡目の点検結果は、橋梁全橋210橋のうち健全なⅠ判定橋梁が3橋(1・4%)、予防保全段階のⅡ判定が195橋(92・9%)、次回点検までの5年以内に修繕が必要な早期措置段階のⅢ判定が12橋(5・7%)で、Ⅱの予防保全段階の内訳は軽微が100橋、進行が95橋。トンネルは全15本のうちⅡ判定が8本(53・3%、軽微5本、進行3本)、Ⅲ判定が7本(46・7%)。このほか耐震性能を未確保の橋梁は81橋。
今回の大規模修繕費は約170億円で、内訳は大規模修繕90億円、耐震化80億円。大規模修繕は今後10年間(2028年度完了)を、耐震補強は今後8年間(2026年度完了)を目標に進める。大規模修繕の90億円のうち30億円をⅢ判定の橋梁12橋とトンネル7本、の計19施設にあて、残りの60億円はⅡ判定のうち劣化が進行している橋梁95橋とトンネル3本の計98施設にあてる。耐震補強はの80億円は、橋梁81橋の対策にあてる。
橋梁損傷の要因は主に3点で、①構造物の経年劣化、②平成5年の車両制限令の規制緩和に伴う車両の重量化、③冬季の安全確保のために散布している凍結防止剤に含まれる塩分の橋梁継ぎ目部から漏水。
経年劣化としては、架設から30年以上経過した橋梁が5割以上を占め、構造物の健全度の低下がみられている。車両重量化としては、車両総重量20トンから25トンに引き上げられ、高速自動車国道で適用されたトレーラ荷重(総重量43トン)による条件も撤廃されたことで、橋梁にとって過酷な状況となり、床版等の劣化要因となっている。塩水の漏水としては、比較的降雪の少ない南部地域でも、特に凍結しやすい橋梁区間が多いため、雪寒地域同様に凍結防止剤を散布しており、橋面の継手部(伸縮装置)からの塩水の浸透によって、桁等の端部の損傷が進行している。法定点検により、コンクリートや鋼製支承で多数の損傷や、ひび割れ部分からコンクリート構造物に塩分が浸透し、蓄積している個所などが明らかになっている。
これに対して、通常修繕、大規模修繕で対応していく。通常修繕は、損傷した構造物の性能、機能を日常的な部分補修により、保持、回復することとしており、一方大規模修繕は古い設計基準により建設された構造物の健全性低下が著しく、構造物の健全性を必要 水準まで引き上げるとともに、新たな損傷の発生を抑制し、長寿命化を図るため、大規模な修繕を行うこととしている。
具体的には、止水機能を備えた伸縮装置への取替や、橋面防水工の施工、ひび割れ修復(注入工)、コンクリート床版の取替、剥離・断面欠損部の修復など。
耐震補強は、阪神・淡路大震災で落橋等橋梁被害の度合いが高かった昭和55年道路橋示方書より古い設計基準をで建設した橋梁については、地震による損傷が致命的とならない落橋防止、倒壊防止の性能の確保はおおむね完了している。今後は平成28年の熊本地震を受け、国が新たな発表した方針を受け、高速道路や直轄国道など、緊急輸送道路については、落橋・倒壊対策に加え、路面に大きな段差が生じないよう、支承の補強や交換などを行う対策を加速化させる(平成8年以前の道路橋示方書により設計された橋が対象)。橋梁全210橋のうち81橋で、緊急輸送道路として国の方針を踏まえ、2026年度までに2車線分の対策完了を目標に進め、残る個所についても、その後速やかに対策を完了させる。
橋脚のRC巻き立てや、段差防止構造の設置、などを進める。
これまでの橋梁耐震対策としては、平成7~9年度に阪神・淡路大震災後の緊急対策(12橋)、平成14~19年度に跨線橋の対策(6橋)、平成17年度に道路拡幅(付加車線設置)に合せて補強(2橋)、平成17~19年度に緊急輸送道路の橋梁耐震補強3箇年プログラム(14橋)、平成23年度~平成30年度にまだ残っているS55道示よりも古い基準の橋梁の対策(44橋)を実施済みだ。
委員およびアドバイザーは次の通り‥紙面に続く

播但連絡 橋齢分布
播但連絡 大規模修繕費用(点検結果から・耐震除く)
播但連絡 大規模修繕費用(耐震)
播但連絡 修繕対策①
播但連絡 修繕対策②
播但連絡 損傷状況①
播但連絡 損傷状況②