本四 行動計画2019-21年度/陸上部橋梁特定更新 床版防水や表面被覆/長大橋群 新たな省工程型塗料規格化/近赤外線カメラで塗膜損耗量効率的推定/主塔点検 ロボットやドローン活用

本四点検技術

 本四高速は2019年度から21年度までの3カ年の行動計画をまとめており、橋梁関連としては耐震補強率70%の達成(2017年度実績は45・2%)や、ロボット・ドローン・赤外線サーモグラフィを用いた点検技術、同社が世界に先駆け開発したケーブル送気乾燥システムの高度化、コスト縮減に大きく貢献する塗替塗装のさらなる技術開発に取り組むことなどを掲げている。
耐震補強では、大規模地震発生時にも、橋梁の被害を最小限に抑えて早期に交通路を確保する対策を進めている。道路・鉄道併用橋の瀬戸大橋では、2020年度の完了を目指して、吊橋、斜張橋および与島高架橋の補強工事を推進。また、30年以内に震度6弱以上の揺れの発生確率が26%以上の地域に位置する橋梁は、2021年度までに全橋で耐震補強を完了することとしている。
メンテナンスサイクルとしては、まず点検を、2019年4月以降、新たな点検計画により実施。修繕・更新は、点検で発見した変状について、緊急性や優先度により計画的に機能向上を図りつ実施する。特に長大橋については、時間とともに進む劣化を抑制して橋の機能を維持するために、計画的な予防保全を進める。このうち大規模修繕事業(特定更新等工事)としては、本四高速の約9割を占める陸上部区間でも、老朽化の進展とともに一部に変状が発生していることから、PC床版の高性能床版防水工(内在塩分がある場合は脱塩併用)、PC桁の表面被覆(内在塩分がある場合は電気防食)、盛土の安定化対策をすることで構造物の長寿命化を図る。
本四高速を象徴する長大橋群に対しては、点検技術の高度化、塗替え塗装技術の開発・導入、ケーブル送気システムの高度化を促進する。
点検技術の高度化としては主塔点検ロボット、ドローン、赤外線の活用などによる点検手法の検討をし、効率化を進めるほか、点検結果の評価についても、膨大な量の点検データ、構造データ、気象データなどのビッグデータとして、AIを活用した評価の効率化などに取り組む。
主塔点検ロボットは、簡易に近接カメラで壁面の状況を撮影可能にしたもの。磁石車輪、撮影カメラ、リチウムイオン電池を装備しており、機体寸法は590(W)×420(H)×940(L)、機体質量は85kg。ロボットの昇降は、3輪の磁石車輪(駆動装置内蔵)により鋼壁面に吸着し平均走行速度4m/分で自走、世界最大の明石海峡大橋の主塔は約280mの高さがあるため、1往復に約140分かかる。ロボットの操作は、主塔基礎上からの目視およびロボット前方に設置しているカメラによりロボットの位置と走行状況を確認しながらする。主塔壁面の塗膜の変状は、ロボット後部のカメラポールの先端に取り付けられたカメラで常時観測でき、その映像を塔基部の記録装置で記録。この記録映像をもとに、塗膜の変状位置や大きさを判定し、点検範囲における変状マップを作成する。
塗替塗装に関する技術開発としては、長大橋修繕費の約半分を塗替塗装費が占めており、LCCに極めて支配的な要素であることから、塗替えコストの縮減がLCCの縮減に大きく貢献するとして、2018年度に従来よりも耐久性の高い省工程型塗料の規格化をしており、2019年度以降は、この省工程型塗料による塗替塗装に着手し、効果や塗膜性能を検証する。
本四の防食には、建設時から高い防食性能と長期の耐候性が期待できる重防食塗装が採用されている。塗替塗装では、防食下地の無機ジンクリッチペイントを長期にわたり維持することを目的として、これを保護する下塗り層が露出する前に中塗りと上塗りを塗り替えることを基本としている。この省工程型塗料は中塗を省略して耐候性の高い上塗(中塗の損耗速度の1/10程度)を厚膜化(55μm)することにより、塗替サイクルを延伸するもので、本四が主導で開発してきた高耐久性ふっ素樹脂を適用している。
省工程型塗料の規格化にあたっては、実橋での試験施工により、施工性等(厚塗り性、仕上がり性、付着性など)を確認するとともに、従来の2 層塗り(上塗り+中塗り)に比べて作業の省力化が期待できることも確認した。また、省工程型塗料は、従来の中塗りを省略することから、旧塗膜との付着性が確保されるかが懸念されたが、試験施工5年後まで付着力試験を実施し、所要の付着力を保持していることを確認している。なお、耐候性については、従来のふっ素樹脂塗料よりも高い耐候性をもつ塗料として2010年に開発した高耐久性ふっ素樹脂塗料と同等の性能((一財)日本ウェザリングテストセンター宮古島での光沢保持率が暴露期間3年で50%以上)を要求することとしている。
加えて、近赤外線カメラによる塗膜損耗量の効率的な推定手法など、塗替時期の最適化のための技術開発も進める。
ケーブル送気乾燥システムの高度化としては、吊橋を構成する部材の中で最も重要とされる主ケーブルを腐食から守るために、ケーブルを構成する鋼線が湿度60%以下では錆びないとされていることから、乾燥空気をケーブル内に送気することで湿度を40%以下になるように管理しているところだ‥紙面に続く

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