高力ボルト需給逼迫が緩和 国交省が調査/仮需による市場混乱が沈静化/橋梁用途は依然ひっ迫 「半年以上引き取らない」など課題も

橋梁用高力ボルトは依然ひっ迫

 高力ボルトの需給逼迫問題で、国交省は10月までに実施した調査結果をまとめ、「仮需による市場混乱が沈静化の方向にある」と発表した。3月調査で7・8カ月だった納期が、10月調査では6・5カ月に短縮。需給動向は「逼迫」から「やや逼迫」に改善した。5月に講じた需給の安定化に向けた対策がきいてきたとみられる。対策のさらなる徹底を図るため、19日付で建設業団体に協力要請文書を送付した。ただ調査結果では、こうした一般的に使用される高力ボルトの需要が改善される一方で、橋梁や屋上建屋など、対候性が求められる施設に使用される溶融亜鉛めっき高力ボルトなど、特殊な高力ボルトの需給は依然ひっ迫傾向にあることも分かった。
国交省の動向調査によると、通常時に約1・5カ月だった納期が昨年10月の調査で約6・1カ月と4倍に伸び、3月調査では約7・8カ月まで長期化していた。そこで、国交省は5月に、受注者(ボルトメーカー)と発注者(商社や問屋など)の契約適正化に向け、標準的な「発注様式」を作成し、この様式に基づいた契約をするように求める対策を講じた。
国交省は7月に、高力ボルト実需の実態調査をし、鉄骨使用量に対する高力ボルトの必要量を調査。鉄骨使用量に対する高力ボルトの必要量(需要)は近年(2016~18年度)大きな変化はなく2~2・2%で推移していることと、鉄骨需要量(推定)も近年横ばいで推移しているとの結果が得られたことから、高力ボルトの需給がひっ迫している今般の要因は、実需の増加ではなく、市場の混乱に基づく仮需要の一時的な増加によるものと推定していた。
10月の動向調査によると、納期の最短期間の平均で4・7カ月(3月調査6・0カ月)、最長期間平均が6・5カ月(7・8カ月)となった。全国8地域すべてで納期が緩和した。需給動向は3月時点の「逼迫」から、今回「やや逼迫」に改善。地域によっては「均衡」となった。一方、価格動向は3月時点と同じく全地域で「やや上昇」だった。
ボルトの種類ごとの納期状況では、六角高力ボルトが4・7~6・4カ月、トルシア形高力ボルトが4・1~5・9カ月であるのに対し、橋梁などに使う溶融亜鉛めっきや防錆処理をした特殊な高力ボルトは5・3~7・3カ月であることが分かった。特に橋梁工事関係では、注文通り生産したものの半年以上引き取りに来ない場合など長期間出荷できず、その結果滞留在庫となり、保管場所を圧迫し、新規生産にも影響が出ているなどの課題が示された。
発注様式の活用状況は、メーカー大手3社は様式に基づき発注情報を確認しており、商社や問屋の約6割で確認していた。建設関連業者の約7割で様式に必要な発注情報を的確に提供していた。供給側、需要側それぞれ3~4割の業者が発注様式を活用していないため、国交省は引き続き活用を促し浸透‥紙面に続く