国交省 橋梁定期点検の効率化・合理化へ/新技術導入促進、性能カタログ拡充

点検合理化 橋梁18技術一覧表

 国交省は10月10日、今後の定期点検の更なる効率化・合理化などについて審議する目的で、社会資本整備審議会道路分科会第11回道路技術小委員会を開き、点検1巡目の結果を確認、それを受けた今後の課題や、2巡目以降の点検では業務の効率化・合理化になる支援技術の導入を促進することなどを確認した。
点検1巡目の結果として、おおむね計画通りに完了したこと、一方で次回点検までに修繕が求められるⅢ、Ⅳ判定橋梁の修繕に着手した割合が地方公共団体では20%程度にとどまっていること、また維持管理・更新費の推計・公表の状況や、自治体への支援策についてのアンケート結果などが示された。
定期点検の更なる効率化・合理化として、近接目視が不可能だったり、打音・触診による点検を簡略化できたりする特定の部位・部材の点検で留意点をまとめた「参考資料」や、点検を後押しする新技術を推奨する「性能カタログ(案)」に、実証などを経て新技術を反映し、内容を拡充、2020年度の技術導入開始を目指すことなどを示した。
ほかに、2巡目以降の定期点検に向け引き続き検討すべき事項として、▽修繕に関する技術基準の策定、▽定期点検の質を確保するための点検に関する資格制度や新技術に関する審査制度、▽点検結果のデータベース化による利活用なども示された。

■要修繕 国3427橋、自治体62977橋/修繕着手 国1811橋(53%)、自治体12700橋(20%)

 点検1巡目の結果としては、点検総数716466橋のうち、次回点検までに修繕が求められるⅢ、Ⅳ判定はそれぞれ10%の68400橋、0・1%の700橋あった。これらへの修繕として、国交省が要修繕3427橋に対し、修繕着手が53%の1811橋(うち完了が18%の61橋)で、次回点検までの修繕実施を考慮した場合に想定される修繕ペース通り修繕が進んでいる一方で、地方自治体は要修繕62977橋に対し、修繕着手が20%の12700橋(うち完了が12%の7430橋)で、修繕ペースがかなり遅れていることが分かった。ただ、修繕率でなく、実数で見ると、国交省の修繕着手数1811橋に対し、自治体の修繕着手数は12700橋と7倍強の修繕数をこなして‥紙面に続く

■今後30年間の維持更新費 71・6~76・1兆円に/橋梁長寿命化修繕計画 528自治体が修繕費示す

 また、維持管理・更新費用の推計としては、道路分野で2018年度から30年間の費用を推計すると、予防保全を実施した場合に2018年度は1・9兆円、5年後の23年度は2・1~2・2兆円、28年度は2・5~2・6兆円、38年度は2・6~2・7兆円、48年度は2・1~2・2兆円となり、19年度の予算規模の最大1・5倍程度で収まり、19~48年度の30年間トータルで71・6~76・1兆円になる一方で、事後保全を続けた場合は48年度は3・9~4・9兆円となり最大2・4倍に増加すると試算している。
橋梁の長寿命化修繕計画(個別施設計画)を策定済みの自治体は、全国の1781自治体のうちの81%の1444自治体で、このうち長寿命化修繕計画を未公表の233自治体を除く、公表済み1211自治体において、修繕の時期や内容を橋梁ごとに示した計画となっている自治体は1030自治体(このうち修繕費用まで示している自治体は528自治体)、また、策定後の今後も引き続き計画の更新をする自治体は861自治体であることが分かった。
国交省が老朽化対策で求める支援策をアンケートした結果では、修繕方法(技術基準)の明示に4割弱、修繕工事や設計の一括発注に3割強、修繕計画の立案、修繕技術や工法の承認にそれぞれ2割強集まっ‥紙面に続く

■AI活用した点検・診断、計測・モニタリング/技術の開発、検証を促進/橋梁分野18技術を検証へ

 定期点検の更なる効率化・合理化としては、定期点検の目的と達成水準に照らして、▽そもそも見えない部位・変状がある▽見えても評価・考察が難しい部位・変状ある▽ある橋の全体をくまなく近接目視することを一律に求めるとき、部位によっては過剰となる場合がありうる、などの課題があるとして、近接目視によらない点検・診断方法の確立に取り組んでいるところで、AIを活用した点検・診断技術の開発、計測・モニタリング技術の検証を進め、近接目視によらない点検方法をベストミックスする方向で取り組んでいる。
この一環で、今年2月には、内部に人が立ち入る恐れがないなど特定条件を満たすRC造の溝橋(ボックスカルバート)の点検で省力個所を示した点検要領に改訂するとともに、点検を後押しするドローンなどの新技術を推奨する「性能カタログ(案)」を示したところ。今年度も技術を公募して8月30日に締め切り、ニーズ型に20件、シーズマッチング型に27件の応募があった。技術公募は計測・モニタリング技術で、ニーズ型は特に今年度、引張材、支承機能、洗堀、TN附属物について、シーズ型は要素技術について公募。
このうち橋梁関連としては、ニーズ型では、①PCケーブルや吊材として、▽永久磁石を用いてケーブルの張力を計測する技術▽磁束密度の変化から断面積を計測しケーブルの腐食を計測する技術▽自走式ロボで斜材表面を撮影する技術など5技術、②支承の機能障害として、▽支承本体または後付けで反力を推計する技術▽動画像などの画像解析により変位・回転数を計測する技術▽光ファイバセンサなどで動的ひずみを計測する技術など7技術、③橋梁基礎の洗堀として▽水底を3次元データ化して洗堀量をする技術▽加速度データから土被り量を解析するなど加速度センサから変位や傾斜を計測する技術▽超音波で地中を探査する技術など6技術などがあった。
国交省はこれら応募があった47件について、10月以降に学識者などとの意見交換を経て‥紙面に続く

■修繕に関する基準類の策定へ/先行的に横断歩道橋のリニューアルから着手

 2巡目以降の定期点検に向け引き続き検討すべき項目としては、①修繕に関する基準類の策定、②定期点検の質を確保するための点検に関する資格制度や新技術に関する審査制度、③今後の点検の効率化、合理化に向けた点検データベース化による点検結果の利活用、の3項目を示した。
修繕に関する基準類の策定については、例えば道路橋では、新設においては道路橋示方書、点検においては道路橋定期点検要領がある一方で、補修・補強などの修繕において国が定めるこうした技術基準がない。技術基準で求めている耐久性能に関しても、新設では100年と示されている一方で、20年経過後や80年経過後においては基準がない。使用材料や部材に求める性能においても、鋼やコンクリート材料のみ技術基準やその性能の確認方法が示されており、それ以外の材料や部材などは規定されていない。このため、各管理者がそれぞれ修繕方法を判断したり、新材料・新工法の性能の確認方法が明示されていないために補修工事に採用しにくかったりする状況があるとして、補修・補強に関する技術基準や性能、性能の確認方法、使える技術の見える化を産官学連携で整備し、修繕にかかるコストを縮減していく考えだ。
まず、新技術導入に向けた仕組みの検討として、先行的に横断歩道橋のリニューアルにおいて、新技術・新工法を活用した補修・補強のための技術基準や性能の確認方法を検討中で、床版補修に対する▽新材料・新技術▽技術基準(性能)▽性能を満たすことの確認方法、を整理することを目的に、今秋に技術公募をし、技術を認証、来年度から全国の補修現場で認証技術を活用する考えだ。
点検の質の確保としては、点検技術者が備えるべき知識や技術を明確にし、適切な措置に必要な診断を確実に実施できる体制の整備に向けて検討を進める。
データベース化については、▽施工時のデータが定期点検や修繕時に活用できるような形で蓄積されていないこと、▽点検結果などをDB化している市区町村は約7割(うち、都道府県のシステムでDB化している市区町村が3割)、このうちLCCを試算している市区町村は5割にとどまっていること、▽道路管理者が独自の方法・期間でLCCを算定しているため、比較ができないこと、▽7割以上の市区町村がデータ項目の提示を希望していること‥紙面に続く

点検合理化 シーズマッチング27技術一覧表
点検効率化技術応募18技術
点検合理化 シーズマッチング型27技術
点検合理化 歩道橋リニューアル先行的に