橋梁上場主要企業 2018年度通期決算/ 売上、利益構造を探る

2018年度橋梁主要企業決算まとめ

 2018年度の企業決算のうち、橋梁関連事業の売り上げが高く、決算短信や有価証券報告書などのIR情報を公開しており、橋梁関連セグメントが独立して明記されている企業を中心にみていく。日本ファブテックや日本ピーエスなどの非上場企業や、ホールディングスで上場していてグループの橋梁関連企業は非上場の重工系企業などは、数字が見えにくく、橋梁セグメントの数字が取り出せないため、除外している。
18年度も増収、増益などが多くみられるが、儲け方のなかみを、いくつかの指標のランキングをもとに、読み解いていきたい。
決算の数字を見る意味は何か。それは、自社、そして競合が、どのような儲け方をしているか、儲けを伸ばす余地があるとすればどこか、それは競争優位になりうるかなどを突き止め、経営戦略に生かすためだろう。加えて、自社が所属する業界自体の魅力度、つまり成長性を窺うことも大事だ。懸命に働き業績は好調、業界で生き残る勝者であるとしても、マーケット自体が縮んでいるとすれば、当然、他業界に比べ生み出す付加価値、つまり給料も見劣りする、一面の勝者に陥るからだ。その時、かつての競合は、そのマーケット自体を捨て、成長率の高い市場で、より多くの利益・付加価値を生んでいるかもしれない。
儲け方が変化してきているとすれば、それは自社が所属する業界構造が変化してきていることの兆しとも考えられるであろうし、業界の売り上げが縮んでいる、つまり業界の成長率がかつての輝きを失い、マイナスや微量であるならば、需要の飽和や商材のコモディティー化が考えられ、成長必達を目指す会社なら、そのマーケットを捨て、より高い付加価値がとれる成長率の高いマーケットへと業態変更する必要があるだろう。

◆トリプル10 持続的に効率よく稼ぐ力の指標/
売上高営業利益率10%、総資産利益率(ROA)10%、売上成長率10%

 これから橋梁業界の上場企業の決算を見ていくが、利益をファインダーに10程度の指標から儲け方を探っていく。指標は、売上高総利益、営業利益、経常利益、税引き前当期利益、当期純利益、売上高営業利益率、総資産利益率(ROA)、投下資本利益率(ROIC)、自己資本利益率(ROE)などだ。
売上総利益は、1年間でいくら売ったのかを示す売上高から、材料や仕入れなどの費用を示す売上原価を引いた利益で、粗利と呼ばれることも多い。
営業利益は、この売上総利益から、広告宣伝費や営業のための人件費などを示す販売費および一般管理費(販管費)を引いた利益で、これが本業で稼いだ利益を表し、その企業の本業における力量が表れる。つまり企業が成長するということはこの本業での儲け、営業利益を伸ばすことといえる。
経常利益は、営業利益に本業以外で発生した利益を示す営業外収益や、費用を示す営業外費用を足し引きした利益。経常(けいつね)と呼ばれることもある。本業は好調だが借金が多い企業などの場合は、影響が無視できないため、チェックしておきたい利益。
税引き前当期利益は、経常利益に想定外の一時的な利益を示す特別利益と費用である特別損失を足し引きした利益。特別利益や特別損失(特損)は毎年発生するものでなはく、例えば、子会社の不動産の売却により発生した一時的な利益や損失が計上される。
当期純利益は、税引き前当期利益から法人税などの税金を引いた利益。最後に残された利益のため、最終黒字(または赤字)などと表されることも多い。
世界の企業は今、トリプル10に照準を合わせる。つまり、売上高営業利益率10%、総資産利益率(ROA)10%、売上成長率10%だ。これは何を意味するか。持続的に効率よく稼ぐ力を示す。
利益を増やすにはどうすればいいか。売り上を増やして経費を減らすことは自明だが、売り上げから当期純利益までの流れをみれば、大枠で4つの方法であることが分かる。売り上げを増やすということは、単価を上げる、販売数量を増やすことであり、経費を減らすということは原価を下げる、固定費を削減するということだ。
また、本業が好調かどうかを見るには、売上高だけでなく、どのようにそれを設けたかの手がかりとなる。
売上高営業利益率(営業利益÷売上高)は売り上げに対しての本業の利益の寄与度。数式からも分かるように、営業利益と売上高の関係を見るものなので、減収減益でも数値は改善することがある。
総資産利益率(ROA=利益÷総資産)は、全ての資産をどのくらい効率的に使って儲けることができているか、つまり事業の収益性と効率性が総合的に分かる便利さがある。本業に対してをみたければ営業利益、社業に対してみたければ経常利益を割ればよい。数式から、利益を増やせば改善することが分かる。
自己資本利益率(ROE=当期純利益÷自己資本)は通称「伊藤レポート」に「日本企業は最低限8%を目指すべき」と明記され一気に普及した。株主が出したお金でどのくらい株主のために利益を稼いだかを表す。つまり、株主にとって投資に対するリターンがどのくらいかわかりやすい。計算式からも分かるように、当期純利益を増やしたり、自社株買いなどで自己資本を減らすなどの財務レバレッジをしても改善する。
投下資本利益率(ROIC=税引き後営業利益÷投下資本)は事業のために投じたお金でどれくらい稼いだかを示す。式からわかるように、投下資本という自己資本と有利子負債を足し合わせたものを置いている。つまり、借金を重ねて財務レバレッジを高めればROEの数値自体は改善するが、一方で有利子負債が増えるという悪いROEを織り込んだ計算ができる。
儲かっている度合をみるのに、例えば総資産利益率(ROA)を使う理由はこうだ。例えば売り上げの大小を分析する場合、赤字でも無理やりたたき売るような経営を行う企業のことを「儲かっている」と評価することになりかねない。また営業利益や経常利益の絶対額の大小を分析する場合、基本的に「総資本の大きな企業は、あげている利益額も大きい」という結果が得られるが、こんなことが分かってもあまりうれしくない。自明だからだ。自社分析であれ、競合分析であれ、今ある会社の資本をどう活用すればもっと儲かるか、無駄はないか、ということが知りたい情報である場合、利益の絶対額自体はある一方、投じた資本に対するリターンの割合でいえばそうでもない、とういう経営戦略が存在していたとして、今からそこへ重点的に投資しようということにはならない。経営戦略の収益性を考えるうえで総資本利益率を考えるのはこういう理由からだ。なお、ベンチャー企業などを分析対象とする場合には‥紙面に続く

◆増収増益 川田、宮地、ショーボンドなど/
増収減益 横河、三井住友/
減収増益 ピーエス三菱

 まず、企業業績を、次にセグメントをみていく。
18年度通期の売上が大きいのは鋼橋では横河ブリッジホールディングス1419億2400万円、川田テクノロジーズ1183億6900万円、宮地エンジニアリンググループ520億6300万円。PCでは三井住友建設4487億5800万円、ピーエス三菱1102億7900万円。メンテナンスではショーボンドホールディングス608億2400万円。営業利益も同様に横河ブリッジホールディングス105億900万円、川田テクノロジーズ60億6500万円、宮地エンジニアリンググループ43億5100万円、三井住友建設292億1700万円、ピーエス三菱87億4700万円、ショーボンドホールディングス117億2700万円。
増収増益は川田テクノロジーズ、宮地エンジニアリンググループ、駒井ハルテック、高田機工、OSJBホールディングス、富士ピー・エス、ショーボンドホールディングス。増収だが減益は横河ブリッジホールディングス、三井住友建設。減収だが増益はピーエス三菱。減収減益は‥紙面に続く

◆売上高増加率 駒井、宮地、川田が10%超/
営業利益増加率 ピーエス三菱、川田、駒井が高率に/
営業利益率はショーボンド19・3% 巴が9・8%

 売上高増加率が高かったのは駒井ハルテック21・2%、宮地エンジニアリンググループ10・5%、川田テクノロジーズ10・4%。一方マイナスとなったのはピー・エス三菱-4%、巴コーポレーション-2・3%、瀧上工業-2・2%。
営業利益増加率が高かったのはピーエス三菱60・8%、川田テクノロジーズ36・7%、駒井ハルテック29・1%、OSJBホールディングス28・2%。一方マイナスとなったのは瀧上工業-67%、横河ブリッジホールディングス-23・5%、巴コーポレーション-11・4%、三井住友建設-4・5%。
営業利益率が高かったのはショーボンドホールディングス19・3%、巴コーポレーション9・8%、宮地エンジニアリンググループ8・4%、OSJBホールディングス8・2%。
総資産利益率(ROA)が高かったのはピーエス三菱9・13%、ショーボンドホールディングス8・7%、OSJBホールディングス7・13%。一方マイナスは駒井ハルテック-1・36%。
投下資本利益率(ROIC)が10%を超えたのはピーエス三菱17・9%、三井住友建設16・76%、宮地エンジニアリンググループ14・33%、OSJBホールディングス10・82%、ショーボンドホールディングス‥紙面に続く

◆橋梁セグメントの売上げ寄与度/
ショーボンド95%、巴86%、髙田82%、瀧上80%/
橋梁セグメントの営業利益寄与度 富士ピー・エス、ピーエス三菱、ショーボンドが高率/
橋梁セグメント営業利益率 ピーエス三菱、ショーボンド、富士ピー・エス、三井住友が高率

 橋梁関連セグメントでは、外部顧客向け売上高が大きいのが三井住友建設の土木工事部門1681億900万円(外部顧客向け売上高に占める部門寄与度は37・46%)、横河ブリッジホールディングスの橋梁部門733億9600万円(51・72%)、ピーエス三菱の674億8900万円(61・20%)、川田テクノロジーズの鉄構部門524億1000万円(44・28%)、川田テクノロジーズの土木部門327億600万円(27・63%)、宮地エンジニアリングの宮地エンジニアリング部門324億8600万円(62・4%)。以下、巴コーポレーションの鉄構建設部門280億6700万円(86・14%)、富士ピー・エスの土木部門207億2000万円(74・36%)、宮地エンジニアリググループのエム・エムブリッジ部門196億8900万円(37・82%)、髙田機工の橋梁部門151億9400万円(82・12%)、駒井ハルテックの橋梁部門144億3700万円(32・81%)、瀧上工業の鋼構造物製造部門123億3300万円(79・62%)、OSJBホールディングスの鋼構造物部門55億7200万円(11・07%)。
メンテナンスのショーボンドホールディングスは橋梁関連セグメントの国内建設部門の外部顧客向け売上高が575億6100万円で、全売上高に占める寄与度は94・64%。セグメントの営業利益率も高率で18年度通期は18・7%。
売上高に占める橋梁関連セグメントの割合が高いのが、ショーボンドホールディングス94・64%(575億6100万円)、巴コーポレーション86・14%(280億6700万円)、高田機工82・12%(151億9400万円)、瀧上工業79・62%(123億3300万円)。
営業利益に占める橋梁関連セグメントの割合が高いのは、富士ピー・エス328・35%(30億1100億円)、ピーエス三菱161・40%(141億1800万円)、ショーボンドホールディングス91・67%(107億5000億円)、高田機工91・61%(8億6300万円)、川田テクノロジーズ鉄構部門75・3%(45億6700万円)。
橋梁関連セグメントの営業利益率が高いのがピーエス三菱20・6%、ショーボンドホールディングス18・7%‥紙面に続く

◆三井住友 橋梁セグで利益生みやすく/
横河 橋梁セグ寄与度低下 5~6割程度に

 三井住友建設は12社で最も橋梁関連セグメントの売り上げが大きいが、自社自体の売り上げに占める寄与度は37・64%程度。全営業費用に占める橋梁セグメント営業費比率も、売上高と同程度の35・54%だが、営業利益では自社営業利益に占める橋梁セグメント寄与度が46・19%に上り、営業利益率も14%と建築工事セグメントの9・7%に比べ高くなっている。橋梁セグメントで利益を出しやすい体質であることがうかがえる。
横河ブリッジホールディングスは橋梁セグメントの売上高が700億円内外で推移している一方、エンジニアリングセグメントや先端技術セグメントが過去5年で2倍に伸びており、売上高に占める橋梁セグメント寄与度が年々低下51・72%となった。一方エンジニアリングセグメントは44・67%に上昇。全営業費用に占める橋梁セグメント営業費比率も、売上高と同程度の51・26%だが、営業利益では自社営業利益に占める橋梁セグメント寄与度が57・39%に上っている。営業利益率も14%と建築工事セグメントの9・7%に比べ高くなっている。営業利益率は14年度通期から16年度通期まで橋梁セグメントよりエンジニアリングセグメントが上回ったが、直近の2通期は橋梁セグメントが上回り、18年度通期では橋梁セグメントが8・2%、エンジニアリングセグメントが6・9%。売上高(44億4200万円)と営業費用(35億7900万円)の割に、営業利益(8億6300万円)を出しているのが先端技術セグメントで、営業利益率は毎年続伸し18年度通期は19・4%‥紙面に続く

◆ピーエス三菱 橋梁セグで高収益/
川田 鋼橋セグが利益を牽引

 ピーエス三菱は橋梁関連セグメントである土木部門の売上高が674億8900万円で、売上高全体に占める土木部門の売上高は61・2%にのぼる。全営業費用に占める土木部門営業費比率は、売上高構成比率から10ポイント以上低い53・60%で、営業利益では自社営業利益に占める土木セグメント寄与度が161・40%となっている。営業利益率も20・6%と建築セグメントの8・1%に大きく水をあけている。橋梁関連セグメントである土木部門で稼いでいることがうかがえる。
川田テクノロジーズは橋梁関連セグメントが鉄構部門と土木部門の2部門。売上高は鉄構部門が524億1000万円で売上高寄与度が44・28%、土木部門が327億600万円で売上高寄与度が27・63%。全営業費用に占める営業費比率も同様で、鉄構部門43・17%、土木部門28・13%。一方営業利益では、全営業利益に対する土木部門の寄与度は29・5%だが、鉄構部門は75・3%となる。営業利益率は鉄構部門が8・6%、土木部門が5・4%。鉄構部門が利益を牽引している様子がうかがえる。
宮地エンジニアリンググループは橋梁関連セグメントが二つで、宮地エンジニアリング部門とエム・エムブリッジ部門。全売上高に占める寄与度、全営業費に占める営業費比率、全営業利益に占める寄与度とも、宮地エンジニアリング部門が65%程度、エム・エムブリッジ部門が35%程度。営業利益率は宮地エンジニアリング部門が8・4%、エム・エムブリッジ部門が7・4%。
巴コーポレーションは橋梁関連セグメントは鉄構建設部門で、売上高の86%を、営業費用の89%を占めるが、営業利益は54%にとどまり、不動産収入の割合が45%に上る。鉄構建設部門の営業利益率は6・2%。
富士ピー・エスは橋梁関連セグメントは土木部門で、売上高の74%を、営業費用の65%を占め、一方営業利益は328%。営業利益率は14・5%。
高田機工は橋梁セグメントが、売上高、営業費用とも82%を占め、一方営業利益では91%を占める。営業利益率は5・7%。
駒井ハルテックは橋梁セグメントが、売上高、営業費用とも32%を占め、一方営業利益では41%を占める。営業利益率は5・8%。
瀧上工業は橋梁関連セグメントは鋼構造物製造部門で、売上高、営業費用とも80%を占め、営業利益は43%を占める。営業利益率‥紙面に続く

横河ブリッジホールディングスセグメント
橋梁主要企業セグメント